墓じまいと改葬(引っ越し)はどちらにすればいいか?迷ったときに考えるポイント

花が供えてあるお墓の写真

お墓を完全に処分してしまう「墓じまい」と、遠くにあるお墓を引っ越しさせる「改葬」。どちらも現在のお墓を守っていくことができない時に行いますが、いざやるとなると、完全にお墓をなくしてしまっていいのか迷うこともあるでしょう。

おそらく迷っているポイントは費用面だと思います。墓を移す改葬は墓じまいの数倍、何百万円という料金がかかりますから。しかし、一番大事なことは費用ではありません。

墓じまいと改葬どちらにするかを決めるうえで最も重要なポイントは、この文章を読んでいるあなたがいなくなった時、墓を守っていける後継者がいるのかどうかです。

墓を買うと永遠に管理しなければならない

墓じまいではなく、改葬を選ぶということは、新しくお墓を買うということです。

お墓を買うとき、自分の子どもや孫にかかる負担まで考えているでしょうか?

墓は買って終わりではなく、維持管理は「永遠に」続きます。管理料というお金だけでなく、お墓に参って掃除もしなければなりません。

お墓が自宅から歩いて5分のところにあるならいいですが、たいがいは交通が不便なところにあります。

あなたはいつまで車の運転ができるでしょうか?そしてお墓の管理は自分の代だけでは終わりません。これからの世代がみんな自家用車を持っているかは、かなり疑問が残ります。

墓参り自体にも時間とコストがかかります。本当に綺麗に保つなら、頻繁に行って掃除をしなければなりません。

それら「墓守」の役割を子どもや孫と話し合って納得してもらったなら、お墓を建て替える選択もいいでしょう。

しかし、話し合いなしに自分だけでお墓の建て替えを決めるのは、親が勝手に子どもに借金を追わせるのと同じことです。

「墓守」がいなければどれだけ立派なお墓を建てても、すぐに荒れてしまい、最後には無縁墓になってしまいます。

それならば、自分の代でしっかりと墓じまいを行い、子どもや孫に負担をかけないと決めるのも立派な判断だと思います。

墓守がいない墓は無縁墓になる

墓守がいないとどうなるかをもう少し説明します。

誰も墓参りをしない、供養してもらえないお墓が無縁墓です。

現在急激にこの無縁墓が増えています。お墓に対する考え方が変わったのもありますが、大きいのは家族構成の変化によるものです。

あなたには故郷があるでしょうか?

祖父母あたりの年代の方が東京に出てきて生活基盤をつくり、その子どもにあたる両親は東京生まれの東京育ちという家族は多くあります。さらにその両親からも離れて暮らしているかもしれません。

こうなると先祖代々の土地や故郷という概念がすでにありません。「実家に帰れば祖父母と長男夫婦一家が暮らしている」という構図が減っているのです。

実家から離れて暮らしていれば、故郷にあるお墓を管理するといっても物理的に無理ですし、心情的にも「なぜ私が?」という感覚ではないでしょうか。

お墓を守るには故郷や家という概念が必要

こうして故郷や「家」といった概念が薄くなってくると、墓を守る人がいなくなり、ほったらかしで荒れていきます。

荒れた墓をそのままにはできませんので、管理している寺や霊園が無縁墓として定期的に片付けるのです。

無縁墓となった墓は、墓石を取り除き、遺骨を取り出して合祀します。何代も先まで無縁墓にはならないと確実に分かる人はほとんどいないでしょう。

それなら、自分の手で墓じまいをして供養をする方がいいと私は思います。

墓じまいで先祖の祟りがある?

墓じまいをすると、先祖に祟られるかもしれないと気になることはあると思います。お墓を壊してしまうわけですから。

しかし、墓じまいをするときには、墓石から魂抜きを行います。閉眼供養といいますが、この供養が終われば墓石はただの石です。壊しても問題ありません。

取り出した遺骨に関しては、海への散骨や永代供養を行うことになります。この場合もしっかり供養します。

お墓がなくなってしまうことに抵抗があるかもしれませんが、現代の生活のなかでどれだけお墓を大切にしているでしょう?花を枯らさず、常に綺麗な水を用意できるくらい墓参りをしているでしょうか。子どもや孫たちは同じようにずっと墓参りするでしょうか。

先述したとおり、お墓は未来にわたって永遠に管理できなければ、いずれは無縁墓になってしまいます。

無縁墓になれば、「墓地、埋葬等に関する法律」である通称「墓埋法」に沿ってお墓の解体処理が粛々と行われます。

このように処理されるのに比べたら、子孫であるあなたが丁寧に墓じまいをする方が先祖を大切にすることになると思います。「後の世代に負担を残さない」という決断をしたあなたを恨む先祖はいないでしょう。

それに、そもそも仏教の教えでは魂は存在しません。死んだら終わりです。あなた自身が納得のいく選択をしましょう。

墓じまいをすると決めたら

墓じまいをするときにまず最初に考えることは、お墓から取り出した遺骨の供養方法です。

永代供養墓や樹木葬、海洋散骨などの方法があります。

こちらのサイトからエリア毎の霊園などが調べられます。資料請求も無料です。

お墓さがし

ある程度目星がついたら、墓じまいの準備にかかりましょう。時間がかかる手続きもありますので、同時並行をおすすめします。

墓じまいの手順はこちらの記事にあります。

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